河野脳神経外科病院Kawano Neurosurgical Hospital

二次救急指定病院・一次脳卒中センター・認知症疾患医療センター097-521-2000

その他の脳神経外科疾患についてNeurosurgical disease

内頚動脈狭窄症

頚動脈という首の血管が動脈硬化により狭くなる病気です。頚動脈は脳を栄養している血管のため、高度に狭窄すると脳に血液が流れなくなり脳梗塞になります。また、動脈硬化のことをプラークと言いますが、プラークが柔らかいと血流で壊れて脳に飛び、脳の血管を詰まらせ脳梗塞になります。脳梗塞や下記のTIAで発症される方もいますが、頚動脈エコー/MRIを行うことで症状が出る前に発見することもできます。血液さらさらのお薬で経過をみることもありますが、内膜剥離術や頚動脈ステント留置術といった手術を行うこともあります。

一過性脳虚血発作

英語でTIA(Transient Ischemic Attack)といいます。脳梗塞の一歩手前の病気と言われます。一時的に脳の血液が流れなくなり、脳梗塞と同じ症状がでますが再び血液が流れ始めて症状が消えます。しかし、症状が消えたから良かったでは済みません。一過性脳虚血発作を起こした方の一部は再び症状が出現し、今度は脳梗塞になる可能性があります。ですので、この病気の方も入院して頂き、脳梗塞に準じた治療を行います。
「突然、左手足に力が入らなくなったが、10分程度様子を見ていたら症状がなくなった」が典型的な症状です。

脳動静脈奇形

脳の動脈と静脈の間には毛細血管という血管があり、圧の調節を行っています。脳動静脈奇形の場合、胎生期の発生の異常で毛細血管が構築されずにナイダスという異常な血管の塊ができます。ナイダスは脆弱なため、破裂し出血をすることがあります。また、出血をしなくてもけいれんで発症することもあります。手術方法は開頭手術・血管内治療・放射線治療およびこれらの複合手術がありますが、脳動静脈奇形の場所・大きさ・解剖などによって手術が可能か、またどの治療が適しているかを決定します。

もやもや病

指定難病のひとつです。脳の太い血管が細くなるため、脳の血液不足が起こりやすくなります。それを補うために「もやもや」した血管が発達しますが、その血管は脆弱なため、脳梗塞、脳出血を起こすことがあります。治療薬はないので血管をつなぐバイパス手術が必要になります。小児でも発症することがあり、家族内発症が10-20%と言われています。「食べ物をフーフーしているときに手足が動かせなくなったり、言葉がでにくくなった」が典型的な症状です。

脳腫瘍

脳腫瘍は脳のなかにできる「がん」です。ですが、一般的な他の臓器のがんと違って良性なものもあれば悪性のものもあります。画像診断で良性か悪性かある程度判断できるものもありますが、最終的には組織を顕微鏡で観察して診断します。症状はできる場所によってさまざまですが、ある程度腫瘍が大きくなれば頭の中の圧があがり、頭痛・嘔気の症状が出ることがあります。脳腫瘍は大きく分けて原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍があります。原発性脳腫瘍は脳の細胞や神経など脳の中に存在しているものが腫瘍化したものです。転移性脳腫瘍は他の臓器でできたがんが血流に乗って脳に転移したものです。治療法は腫瘍の種類によってことなりますが、摘出手術・放射線治療・薬物治療を複合して行います。

外傷

あたまを強く打ったことであたまの血管が破れて出血する病気です。直後に発症するものに急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫・脳が壊れる脳挫傷などがあります。出血が小さければ頭痛・嘔吐のみの方もいらっしゃいますが、出血が大きい場合は意識障害を伴い、命に関わることもあります。そうなった時は急いであたまを開けて、出血を取り除く必要があります。また、高齢者の方は頭を打って1か月後に発症する慢性硬膜下血腫という病気になることもあります。頭を打ってだいぶ経ってから突然歩きにくくなったり、手足が麻痺したり、認知症のような症状が出現した際は、この病気を疑います。

てんかん

脳の神経細胞の異常興奮によって発症します。症状はさまざまですが、大きくわけて脳の一部が興奮している部分発作と脳の全体が興奮している全般発作があります。部分発作は一時的に手足が動かせなくなったり、ぼーっとして口をもぐもぐしたりします。全般発作は意識がなくなり、手足をバタバタさせるいわゆる「ひきつけ」を起こします。原因がわからないこともありますが、寝不足・ストレスなどささいなことで発症する方もいます。また脳腫瘍や脳卒中などの脳の病変(症候性てんかん)、感染症が原因の事もあります。こどもから高齢者まで誰がなってもおかしくない病気です。治療法は抗てんかん薬の内服ですが、治りにくい場合は手術を行うこともあります。

水頭症

頭の中には脳室という脳脊髄液がたまっている部屋があります。脳脊髄液は生成・吸収を繰り返しています。そのサイクルが狂うことで脳脊髄液が溜まり、脳室が拡大します。この状態を水頭症といいます。脳腫瘍・くも膜下出血などによって急に水が溜まり脳の圧が上がる水頭症を急性水頭症といいます。その時は頭痛や嘔吐、意識障害をきたします。また、脳の圧は上がらずに水が溜まる、正常圧水頭症という病気もあります。この水頭症は高齢者に多く、歩きづらさ・認知症・尿漏れが多くなるという症状が出ます。治療法はシャント手術と言って、頭の中の水をお腹など違うところに流れるようなルートを作る外科的処置です。

めまい症

めまいにはぐるぐる目が回る回転性めまい、地震が起きたときのような浮動性めまいなどがあります。脳が原因である中枢性めまいと耳が原因である末梢性めまいがあります。めまいの多くは末梢性めまいですが、複視や手足の麻痺、しびれを伴う中枢性めまいの場合は命に関わる可能性があるので脳神経外科を受診してください。基本的には頭部CT/MRIにて脳の病変がなければ、末梢性めまいの可能性が高いと考えますが、脳神経外科に行っても、耳鼻科に行っても原因がわからないこと多いのが現状です。中枢性めまいの場合は原因疾患に対する治療が必要です。末梢性めまいに関しましては命にかかわらないことが多いので抗めまい薬を内服して頂き、耳鼻科で詳しい検査をすることをおすすめしています。

一次性頭痛

頭痛には大きく分けて、一次性頭痛と二次性頭痛があります。二次性頭痛とはくも膜下出血や髄膜炎など他の病気が原因で起こっている頭痛です。一次性頭痛とはその他原因がないものです。一次性頭痛の中には片頭痛・緊張型頭痛・群発性頭痛・薬物乱用性頭痛などがあります。それぞれの特徴がありますので患者さんの症状で診断します。複数の頭痛が合併することもあります。基本的に治療法は鎮痛薬を飲んでもらいます。現在はたくさんの薬が開発されており、患者さんにあった薬を選びます。しかし、なかなか治らずに悩んでいる方が多い疾患でもあります。

認知症

認知症は脳の老化現象であり、多くは高齢者で発症しますが、稀に若い方でも発症します。有名なものにアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などがあります。多種多様な症状が生じます。有名なものでは記憶ができない、時間・季節・場所がわからない、怒りっぽくなるなどの性格変化があります。現時点では認知症を治す薬はありませんが、進行を止める可能性のある薬を処方します。

片側顔面痙攣

片方の目の周囲、口、頬、顎がぴくぴくする病気です。整容面的に気にされる方が多くいらっしゃいます。原因は頭の中の顔面神経という神経に脳の血管が当たり圧迫していることです。ボトックス注射という一時的に筋肉をしびれさせることで効果がある方もいますが、それでもなかなか治らない場合は当たっている血管を遠ざける手術を行います。

三叉神経痛

頬・顎・歯茎などの痛みを呈します。ご飯が食べられないなどの重篤な症状の方もいます。原因は頭の中の三叉神経という神経に脳の血管が当たり圧迫していることです。症状が軽ければ内服薬で痛みのコントロールできる方もいますが、当たっている血管を遠ざける手術が必要な方もいます。

脊髄疾患

首から腰にある脊髄という神経が圧迫されたり、骨にあたることで痛みやしびれが生じます。この病気で歩きにくくなる方もいらっしゃいます。整形外科でも取り扱っている病気です。薬などで症状を緩和させる方法もありますが、圧迫している組織や骨を削る手術も行います。

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